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医療カテゴリー ゆるドクの戯言

入院中「ついでに」他科の受診や検査をしてもらえない理由

病気で入院した時に

「そう言えば最近、膝も痛いな・・入院しているし、ついでに診てもらおう」

と思い、主治医の先生に相談したことのある方は多いのではないでしょうか。

ただ、多くの人は「ん〜今は病気に専念しましょう」とか「退院して外来で診てもらう方がいい」とか何とか訳わからん理由で断られているのではないでしょうか。

主治医は嫌がらせをしているのではありません。

(患者のためになっているのかどうかは別として)ちゃんと理由があります。

今回はなぜ「入院ついでの他科受診や検査」を断られるのか説明しましょう。

 

DPCというシステム

DPCって何?

急性期病院の多くは「DPC」と言うシステムを採用しています。

DPCとは「Diagnosis Procedure Combination」の略であり、Diagnosis(診断)とProcedure(治療・処置)をCombination(組み合わせ)させると言う制度です。

DPCでは病気ごとに一日の入院費用が決められており、病院はその中で診断・治療・処置を行うようになっています。

簡単に言えば定額制の医療システムです。

かつては手術や投薬、検査などの医療行為を行うと実施した分だけ費用がかかる出来高制だったのですが、この場合病院によっては過剰な治療・検査が行われることがありました。

過剰な医療を防ぐため、さらに医療費の削減のために導入されたのがDPCです。

 

DPCに含まれるものと含まれないもの

もちろん入院にかかる全ての費用が一定額という訳ではありません

DPCの制度の中でも定額に含まれるものと出来高になっているものがあります。

DPCでも手術料や麻酔料などは出来高となります。

さらに検査などについても出来高となる検査もあります。詳細はこちらを参照してください。

主には外来で行われるような検査や処置、他科への受診はDPCに含まれてしまいます。

 

病院は慈善団体ではない。

病院も一企業なため、利益を出さなければいけません。

そのため、上記のDPCに含まれる検査・処置はなるべく避け、外来で行う傾向にあります

具体的には呼吸器の疾患で入院している人が入院中に膝へヒアルロン酸の注射をしてもDPC内となるため病院の売り上げになりませんが、外来であれば売り上げとして計上できます。

「ついでに」他科を受診・検査することは一切病院の利益にならず、むしろ「損」となってしまいます。

これが何やかんやと理由をつけて断られる原因です。

ただ、DPC導入していれば絶対に他科を受診させてくれないと言うわけではありません。

もちろん本当に必要な場合には他科へ紹介し、精査を行っていただきます。

 

DPCは患者の不利益になるか?

上記だけをみるとDPCは患者の不利益になるのでは?思うかもしれません。

しかし、患者側にも利益はあります。

主に下記の2つです。

  • 「無駄な検査」をされない。
  • 「適切な治療」が行われる。

DPCの範囲内から実際にかかった費用を引いた金額が病院の利益となります。

そのため、入院している病気に対して不必要な検査や治療が行われる心配がありません。

出来高制だと必要ない検査や治療が行われ、必要以上に支払いが発生してしまうことがありますが、DPCを導入している場合はそのようなリスクがありません。

患者側にとっても必要以上に費用を支払うことがなく、必要な治療が受けられるとてもいいシステムです。

ただ、支払いに関しては「高額医療費制度」もあり、国民健康保険に加入している人(ほとんどの人)は1ヶ月に支払う金額には上限があるので出来高制でも支払いの上限はあります。

 

まとめ

今回は何故入院した際に「ついでに」色々検査をしてもらえないか、他科への受診をOKしてもらえないのかを説明しました。

病院側も患者の希望に全部寄り添う事ができない事情があることをご理解いただいた上で入院して頂けると幸いです。

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  • この記事を書いた人

ゆるドク

地方で勤務医として働いている30代
整形外科専門医 | 脊椎脊髄病医 | 難病指定医
『ゆるく生きる』がモットー
お仕事の依頼はTwitterのDMから
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