ゆるドクの独り言

頚椎椎弓形成術の器械の選び方

先日、後輩に

「頚椎の椎弓形成術って金属プレートと人工骨とどっちがいいんですか?」

と聞かれたので、脊椎脊髄を専門にしようとしている後期研修医に向けて私なりの選び方を書いておきます。

 

結論

ぶっちゃけどっちでもいい。

いきなり結論になってしまいますが、実際のところ結論はこれです。

術者の好みの問題です。

ただし、当然違いがあるのでそれを見てみましょう。

 

金属プレートと人工骨の違い

前提として片開き式椎弓形成に限定しています

同じ会社のHOYA technosurgical 株式会社のものを比較します。

金額

断然金属プレートが高いです。

人工骨であれば1椎弓あたり人工骨代の3万円です。

一方、金属プレートの場合プレートが3〜4万円+固定用スクリューが7万円(2本使用)です。1椎弓あたりの約14万円かかります。

ただ、日本においては高額療養費制度があり、実際には患者が器械代を負担することは無いので金額の違いは気にかける必要はないでしょう。

手術時間

勿論、手術手技そのものに対する経験によって時間は変わりますが、同じ件数を行なっていると仮定した場合、手術時間は圧倒的に金属プレートの方が短いです。

理由としては以下の2点が挙げられます。

ポイント

  • 作業工程が少ない。
  • ほぼ一人でできる。

人工骨の場合は

骨に穴を開ける→サージロンなどの非吸収性の糸を通す→縫合する

金属プレートの場合は

当ててドリル→スクリュー挿入

上記のように工程が少ないため、当然時間も短くなります。

また人工骨の場合は助手に椎弓を持ち上げてもらう必要があり、助手が不慣れな場合は時間がかかります。一方、金属プレートは自分で椎弓を持ち上げて間に挟み、自分でプレートを支えればいいので助手の技量に左右されません。

術後の検査

手術をした後に神経根症状が出現する場合は頚椎MRIを撮ることがあります。

しかし、金属プレートを入れている場合、ハレーションが起こり椎間孔の精査はできなくなります

手術する時点では神経根症状が出現していなくても椎間孔が狭い場合、CTで骨棘がある場合など将来的に頚椎の精査が必要かな?と思う場合には金属を入れないほうがいいでしょう。

 

まとめ

実際のところ、ゆるドクはどうしてるか?と言うと

将来的な検査のことを考えてなるべく人工骨を使用するようにしています。

ただ、現在の勤務先には金属プレートを常時配置してもらっているので脊髄損傷など急ぐ症例がきた場合には金属プレートを使用することが多いです。

本当に好みの問題であり、どちらが優れているとかはないですよ。

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  • この記事を書いた人

脊本 侑(ゆるドク)

アラフォー勤務医
医学博士 ❘ 整形外科専門医
脊椎脊髄指導医 ❘ 脊椎脊髄病医 ❘ 難病指定医
医療ライター ❘ Webディレクター
オンライン美容皮膚科にも勤務
広島東洋カープファン
『ゆるく生きる』がモットー
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